あんこう
2005年 11月 1日 (火)
漢字では「鮟鱇」と書く、この グロテクスな魚。
北海道以南に広く生息するこの魚ですが、
関東あたりで人気の高い食材です。
本場といえば、茨城県でしょう。
最近、茨城県日立市沖で獲れたあんこうを
「口福鮟鱇」 (こうふくあんこう)と名付け、出荷しているようです。
「関鯖」 (せきさば)のようなものかな?
この魚、見た目の醜さからは、想像も出来ないくらいの
上品で、淡白で、癖が無く、美味しい。
料理は、やはり鍋でしょう。
関東では、味噌仕立てが一般的で
次に、うどん出汁のような仕立てで、あんこう鍋を食べます。
関西ではどうでしょうか。
河豚(ふぐ)の食文化が根付いているせいか、
ポン酢で召し上がる方が多いようです。
先日、当店の「ねたケース」に姿のままでいるあんこうを見て
「かわいい!」 って言う女性がいました。
(爬虫類が好きなのも女性ですもんね)
それに、あんこうは お肌にも良さそうだし・・・
鍋の季節の到来です。
大自然に感謝して、美味しく頂きましょう!
ふぐ
2005年 11月 5日 (土)
京阪神ではお馴染みの冬の味覚 河豚(ふぐ)。
実際に、本場とされる北九州よりも大阪の方が、
たくさん消費されているようです。
ふぐといえば、毒の話になることがたびたびあります。
―― テトロドトキシン。
この毒を持つ海底に棲む虫を、ふぐが好んで食べるため
その毒を分解・排泄出来ずに、ふぐは体内に毒を蓄積するとされています。
ふぐという魚が、自ら毒を造っているわけでは無いので、
養殖のふぐに、この毒があるはずはありません。
その結果、養殖ふぐの肝を食べたがる人があとを絶ちません。
しかしながら、こんな研究結果があります・・・
養殖ふぐの生簀に、毒持ちの天然ふぐを一匹放したところ、
数日後、何匹かの養殖ふぐから毒の反応が確認されたとのこと。
肝の無毒に「絶対」というのは、有り得ないということですね。
毎年、ふぐ毒による死者が出ています。
ふぐの肝を食べるときは、命を賭けましょう!
あと、ふぐの免許のこともよく聞かれます。
これは、各都道府県の条例によって定められていて、
私が取得しているのは、京都府の「ふぐ処理師免許」です。
取得に至るまでの過程もまちまちで、
難しい筆記・実技の試験が課せられる自治体もあれば、
半日の講習会の受講のみで資格を得るところもあります。
そして、その名称も様々で
「ふぐ調理師免許」 「ふぐ包丁師免許」 「ふぐ調理講習修了証」・・・など。
* 免許を持たぬものは、ふぐを調理してはならない
面白いことに、これらの受験資格は・・・
* ふぐ免許取得者のもとで、2年以上従事した者
―――― 壮大なる、矛盾。
日本酒 ― カップ酒 ―
2005年 11月 10日 (木)
それほど、美味しいと思って呑んでいたわけでは、ありませんでした。
もう20年も前の事、仕事後 寮に帰って寝酒に重宝したのが
「ワンカップ大関」 でした。
値段・量とも手頃で、なによりも 「すぐ酔える」 って事がうれしかった。
「日本酒は、その程度」 と感じていた私の意識が変わったのが、
それから 5年後、25歳のときでした。
なにげなく立ち寄った酒屋の店主が、自信満々に語る地酒を
半信半疑で買って帰ったのが、小鼓(こつづみ)純米吟醸でした。
その美味さに感激し その頃から、地酒という酒の、高みや奥深さに
関心をもつようになりました。
それから、さらに 15年後 2005年。
昨今の焼酎ブームに圧されて、去年あたりから
たくさんの日本酒の蔵元が、閉鎖している現状です。
生き残りを賭けて、ここ数年 全国の蔵元が販売を始めたのが、カップ酒です。
一升瓶では扱いにくいし、四合瓶はどうしても割高。
そんな不満を払拭する、とてもニーズにあった商品ですね。
(そう考えると、カップ酒を40年も前に販売開始した大関という会社は、すごい。)
カップ酒でありながら、「純米」 や 「吟醸酒」、
「ひやおろし」 や 「大吟醸」などもあります。
まっ、そんなことで私の店でも、カップ酒を置くことにしてみました。
値段・量とも手頃で、なによりも 「本物」 って事がうれしい。
さば
2005年 11月 25日 (金)
日本に住む私達の食卓に、欠かせない魚といえば
「さば」ではないでしょうか?
秋深くなって今、脂ののった美味しい鯖が安価で出回っています。
「秋鯖 嫁に喰わすな」 は、姑根性丸出しのことわざとして
よく知られていますが、反対の意味あいも有るようです。
「鯖の生き腐れ」の言葉があるように、
子を産む大事な体を気遣ってのことと。
私が通っていた中学校にいた、ある先生が毎日毎日お昼ご飯に
「バッテラ」 を食べていました。
薄くスライスした しめ鯖と酢漬けの昆布で作る大阪の箱寿司です。
よく飽きないもんだと、感心したものです。
関鯖(せきさば)が騒がれて、かれこれ15年ほど経ちます。
大分県の佐賀関の海に棲む居付きの鯖を、活け締めにして、
血抜き・温度管理などを丁寧にして出荷したことが、ブランド化に成功。
大変高価な鯖となりました。
外洋を回遊していないことが大事。
湾に居付きの鯖なら、安全に刺身でも食べることが出来ます。
市場で関鯖の一人勝ちの昨今が不思議です。
消費者も名にとらわれずに、味の満足を求めたいものです。
なにやら、小うるさい文章になってしまいました。
私もそろそろ、鯖を読みたい年齢になってきました。
( ちょっと無理矢理でしたか? )
たら
2005年 12月 7日 (水)
魚へんに雪とかいて、鱈(たら)。
文字通り北の魚ですね。
関西あたりでは、どうでしょうか?
一般には鱈の姿は、あまり見掛けないでしょう。
私の店では鍋用の食材として、冬に何匹かは扱います。
その姿は、とにかく頭が大きい。
全体の半分が頭といってもいい位の「ごつさ」です。
漫画 「サザエさん」 に出てくる、タラちゃんとはイメージが異なります。
それと、口も大きい。
「ふぅー、喰った喰った、たらふく喰ったー。」
の、「たらふく」 は、「鱈腹」 らしい。
北海道や青森の鱈の漁場では、刺身での美味さも知っているようです。
鮮度落ちが著しく早いこの魚を、是非 生で味わいたいものです。
そうもいかない、関西の私達にとって、鱈の旨みといえば 「白子」でしょう。
メスのお腹にタラコ、オスに白子。
これは、魚屋さんや板前が言うことですが、
白子(シラコ)と言えば、河豚(ふぐ)の白子のことをさし、
鱈の白子のことは、雲子(クモコ) と言います。
またどこかで、食通を気取ってください。
もう10年ほど前の話になりますが、
年末の中央市場の最終営業日に仕入れに行った時の事。
なにやら売れ残ったのか、ある魚屋が
「この鱈、1000円でいいから!」、と言う。
買って帰って腹を開けると、なんと高級食材の白子が
いっぱいいっぱい、入っていました。
年末ジャンボ宝くじが当たったような感じでした。
すっぽん
2005年 12月 14日 (水)
滋養強壮で知られる 「すっぽん」 は、
生物分類学上では、「爬虫類・亀目・すっぽん科・すっぽん属」 に属します。
私は思う。
もし この亀が会話が出来るとしたら、
「どうでもいいけど 俺のこの名前 なんとかならんか? すっぽん って・・・」
と言うに決まってる。
喰わず嫌い、という方が多い食材ではないでしょうか。
私の店で始めて食べた、という方もたくさんいらっしゃいます。
グロテクスなスッポンですが、癖は無く 濃厚な旨みと
プルプルとした心地いい食感が美味しい。
そしてスッポンといえば、生き血ですが
血は空気に触れるとすぐに凝固するので、
首をしめたら直接、酒やワイン ・ リンゴジュースなどに搾ります。
血自体は無味無臭です。
私の目から見て、この生き血を飲みたがるのは圧倒的に女性の方が多い。
「えっ、殺すのー」
「かわいそーっ」
「おっいしいー」
の、女性三段活用です。
甲羅・爪・膀胱以外は全て食べられるという すっぽん料理は、
刺身(前足赤身と肝)、鍋、唐揚げ、雑炊など。
私たち板前の間では、すっぽんとは呼ばずに、丸(まる)といいます。
おそらく、甲羅の丸い形状から来たものでしょう。
すっぽん鍋は、まる鍋。 すっぽんの雑炊は、まる雑炊。
古来、物の優劣の対比する言葉に、「月とスッポン」 という言葉がありますが、
同じ丸い物でも・・・ ということから引用されたのでしょう。
まる : 「なんで俺が悪い方の代表やねんっ。 噛んだろか!」
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