春の野菜
                       2007年 3月 12日 (月) 


今年は、ほんとに暖かい冬でした。

海水の温度も高いようで、冬の魚達も例年と違い、
脂の乗りが弱かったり、漁獲量が少なかったり・・・

そんなこんなで、筍(たけのこ)の献立が、もう始まっています。

日本の春 ―――
よく出来たもので、暖かくなってくると、
「しつこい」ものが敬遠され、「ほろ苦い」ものが旨く感じます。
「寒ぶり」よりも、「春野菜の天ぷら」が欲しい、って感じでしょうか?

当店でも、春の定番メニュー 「春野菜の天ぷら」。

あくの残った「筍」を使います。
こごみ・たらの芽・蕗のとう・菜の花・・・

筍の「ボコッ」っていう、食感。
蕗のとうの、激しい苦味。
こごみの、春の物らしい形。
たらの芽の持つ、華やかな香り。

ね? 食べたくなってきたでしょ。



桜鯛
                       2007年 3月 26日 (月) 


「さくらだい」 という品種の鯛がいるわけでは、ありません。

3月から4月のこの桜の時期に、
脂をたっぷりと蓄えた「真鯛」の事を指します。

ほんのりと桜色をして美しく、見た目・味ともに
さすが、「魚の王様」といったところでしょう。



桜鯛を使った、春らしい料理を紹介いたします。

 ――[ 鯛の桜葉蒸し ]――

鯛をおろし、皮も除き、饅頭くらいの大きさの切り身にし、塩をあてる。
その切り身に、「道明寺粉」(みじん粉)をまぶし、
「桜の葉の塩漬け」で包み、蒸します。

味醂と醤油で味付けした、鰹と昆布の出汁に、
片栗粉でトロミをつけて、「あんかけ」にします。

添え物として、「筍」や「菜の花」なども一緒に蒸してはいかがでしょう。
「蕗」や「花びら百合根」なども使うと、グッと料理屋っぽくなります。

仕上げに、「木の芽」でも、ちらしましょうか。
いやいや、ここはあえて「わさび」にしましょうか。

あぁー、春やなぁ・・・




たこ
                       2007年 4月 23日 (月) 


この食材を、よく使います。
淡路島周辺で獲れる「真蛸」(まだこ)、いわゆる 「明石蛸」です。

最近は、漁獲量が随分と減ってきて、
活け物は、かなり高価なものとなっています。

お造りにする場合、表面の汚れをきれいに取り除く事が大切です。

「塩もみ」を勧める魚屋さんが多いようですが、
私は、熱湯にくぐらす方が良いと思います。

すぐに冷水に取り、表面を「たわし」などで洗います。
表面の白くネバネバした物を、キレイに取ります。

「蛸の柔らか煮」は、どうでしょう。
下処理は、造りの時と同様にします。

圧力鍋を使うと、柔らかくなるのは当然ですが、
ここでは、昔からの職人技を伝えます。

それは、「大根で叩く!」  ひたすら、叩く。

大根には、蛸の繊維質を壊す成分が有りますので、
「蛸と大根の煮物」 などという献立が有るのも、この為です。

買ってきた蛸を、そのままボールに入れ、
20cm位に切った大根で、根気よく叩きます。

その後、表面をよく洗い流して、お出汁で煮ます。

なかなか出来る事ではないと思いますが、
もし、30分程の長い時間、叩き続けたなら、
その柔らかさには、感動することでしょう。
大袈裟じゃなく、歯が無くても食べられます。



天ぷら
                       2007年 5月  2日 (水) 


先日、人さまの前で天ぷらを揚げる機会がありまして・・・

当然の事ながら、私は普通に天ぷらを揚げます。
この「普通」っていうのが、なかなかどうして・・・
「あたりまえ」でない、ということを知らされました。

「上手に天ぷらを揚げるコツ」を伝えたい。

「上手に天ぷらを揚げる事」に比べて、
「揚げるコツを教える」という事は、とても難しいと思いました。

考えてみれば・・・
天ぷら衣の加減、油の温度の状態、火力の調整、上げるタイミングなど、
「なんとな〜く」、しているわけで、
「こんなもんかなぁ〜」って感じで、
「美味そうやなぁ」って思いながらしてる日常のものでした。

「言葉でコツを伝える」
というコツをつかむ事に、ファイトが沸いてきた今日この頃・・・





ながつお
                       2007年 5月 15日 (火) 


けったいな形をした魚です。
ここ関西(特に瀬戸内沿岸)では、知る人も多いですが、
東日本に住む人々には、トンと縁の無い魚です。

【魚昌】(魚辺に昌)・真魚鰹・真名鰹、いろんな字が当てられています。

鰹(カツオ)とは付いても、あのカツオとは、まったく違う種類で、
「スズキ目 マナガツオ科 マナガツオ属」、だ そうです。

これから初夏にかけてが旬で、
身が締まって、脂の乗った大きなもの(30cm)が美味です。

私の店では、刺身や味噌漬け焼きにして、お出しすると喜ばれています。

まるで「マンボウ」のような、扁平な形をしているこの魚は、
身がキメ細かく締まっているのに対して、
骨がとても柔らかになっています。

ですから、三枚に卸すにもかなりの技術が必要で、
私たち板前や、魚屋さんでも、
最も、「きれいに卸しにくい魚」ではないかな?





なす
                       2007年 6月 10日 (日) 


茄子 ・・・ なすび? おなす? 奈須比?
私達には、お馴染みの野菜です。

焼き茄子にしたり、漬物などにもしますが、
この野菜の特徴が、ときに邪魔にもなっています。

茄子の特徴とは・・・
  ☆皮が硬い
  ☆果肉がパサパサ
  ☆灰汁(あく)が出る
  ☆皮が変色しやすい
             ・・・など

以上のことを、踏まえると
茄子の料理法で、最も優れているのは、
「油」を使用することでしょう。

「揚げる」・「炒める」ことによって、
皮を柔らかくし、変色も防ぎ、灰汁止め、果肉をしっとりさせる。
茄子と油、「素敵な出会い」です。



最近は、知名度もぐっと上がってきた、「泉州の水茄子」。
水茄子は、素晴らしい茄子ですね。
「皮が柔らかく、灰汁が無く、果肉がジューシー。」
トマトのように、丸かじり出来ます。



ここで、当店の夏定番のメニューを紹介します。
「茄子 ひすい煮」

長茄子の皮を包丁で薄く剥き、
油で素揚げし、柔らかくなったら氷水に落とす。
冷えたら、重しをして水分を除きます。
鰹と昆布の出汁に、醤油と味醂で味付けしたもので、さっと煮る。
すぐに冷やしておきます。
適当な大きさに切って、おろし生姜で提供。

とても手間の掛かる料理ですが、
「欠点を除き、長所を生かす」、という点では、
優れた料理法では ないでしょうか・・・







 割烹 逆瀬川 川上
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