あまだい
                       2007年 1月 17日 (水) 


甘鯛(あまだい)、京都では 「ぐじ」。
ぶっさいくな容姿をしているこの魚。
この板前の世界に入って、初めて見たこの魚の形に、笑った事を憶えている。

白・赤・黄の3種類が有り、
白甘鯛が、最も美味で高級品とされています。
ただ、白甘鯛は色合いが悪く、鮮度落ちしているように見られる。
見た目では、赤甘鯛が美味しそうに見える。  (ぶさいくだが・・・)

以前、当店で水槽を活用している時に
生きた甘鯛を泳がした事があります。

ところがこの魚は、「活け造り」には向かない。
身が柔らかく食感が悪く、旨みも出ない。

甘鯛の調理には、一塩は欠かせないものでしょう。
昆布締めにして「お造り」のほか、
「焼き物」・「蒸し物」・「揚げ物」・・・
どんな調理にしても旨い、素晴らしい食材です。

じゃあ、なんで水槽に活かしたのか?
というと、泳いでいる甘鯛なんかは滅多に見られるもんじゃ無いからねぇ。
珍しいっていうだけでも、価値が有るように思えて・・・。

そしてこいつ、不器用に泳ぐ。
はははっ、泳ぐその姿も、「ぶっさいくで、かわいいー!」



のどぐろ
                       2007年 1月 26日 (金) 


おかしな名前ですね、「のどぐろ」。
数ある 「むつ」の仲間で、本名は 「あかむつ」。

名前のとおりでして、大きな口から中をのぞくと、
黒い膜に覆われて、まさに 「のどぐろ」。

「あかむつ」・「のどぐろ」?
私個人は、「あかむつ」という呼び方の方が、好きなのですが、
世間一般は、「のどぐろ」の呼称を、チョイスしているようです。
インパクト勝負かな?

余談ですが、
「したびらめ」(舌平目)という名で知られる あの魚の本名は、
「うしのした」 (牛の舌)です。
「こちらは、牛の舌のソテーでございます。」    牛タン塩焼きかよっ!


さて、「のどぐろ」。
日本海での漁獲、特に島根県浜田産が有名ですが、
意外と広く、西日本に分布しています。

脂の乗った上品な白身で、塩焼き・煮付けが美味です。
当店では、味噌漬けにしたものを焼いてお出しすると喜ばれます。

この魚が多くの人に知られてきたのは、
ごく最近で、ここ5年くらいのものではないでしょうか?

それにつけ、値段も上がってきていますが、
その高価さも納得させる、実力者では有ります。


日本酒   ――― 好みへの道
                       2007年 2月 9日 (金) 


一口に、「日本酒」と言っても、様々な味があります。
もっというと、同じ味の日本酒などは、有り得ないと思います。

「生酒」などは、同じ製品ですら、開栓してからの日数(時間)で、
味に変化がみられます。

大好きな「○◇★」という酒が、来年も同じ味を出せるかどうかは解りません。
しかし味が違っていても、多くの蔵元さんは、「○◇★」というラベルを貼るでしょう。

穀物や季節などの、自然を相手に酒を仕込む訳ですから、
味に変化があることは当然だと思います。

「○◇★ の味は知ってる。」
などと、乱暴なことは言わないで、味の違いなども楽しまれてはいかがですか?

当店では、地酒を提供するときには、「利き酒」をして頂きます。

個人個人で、好みが違うからでもありますが、
人間は、料理や体調などにも、味への影響を受けます。

「味見をしていただく」、これが満足への一番の近道だと思います。

初めて来店された方が、地酒を注文されたときは、私はこう尋ねます。
「あっさりしたものと、味わい深いものとでは、どちらが好みですか?」

そして次に、
「フルーティな香りのする日本酒は、お好きですか?」

このようにして、その方の好みの酒を探って行きます。




最後に、私の「グチ」になりますが・・・、

日本酒は、甘くて・辛くて・苦くて・酸味もあって・渋みもあって、
旨味・香り・喉越し・余韻・・・ などの色んな顔を持ちます。

もうー、誰?
日本酒を、「甘口」と「辛口」って表現したヤツ!




かき
                       2007年 2月 26日 (月) 


日本人の大好物、牡蠣(かき)。
生で ・ フライで ・ 土手鍋で ・・・

だだ、残念なのが、今期の真牡蠣。
「ノロウィルス」の感染の報道がなされてから、
市場に、「殻カキ」が姿を消しました。

間違った報道による、まったくの「風評被害」でしょう。
牡蠣の生産者がとても気の毒です。

以前にもたくさん有りました。
「O−157」による、「貝割れ大根」。
「BSE」、「トリインフルエンザ」・・・

「注意を促す事」と、「安全性の確保」の両方を
同時に報道して欲しいものです。


ここで、シンプルな牡蠣料理を紹介しましょう。

―― 牡蠣雑炊 ――
鰹と昆布の出汁に、
刻んだ生牡蠣と、生姜の絞り汁、日本酒少々、薄口醤油。
冷ご飯を洗って表面のぬめりを取り、ひと煮立ちさせ、最後に刻みねぎ。

スッポン雑炊の事を、「丸仕立て」と言いますが、
これと同じように、「生姜」・「日本酒」を使って、
牡蠣で雑炊を作ると、「料亭の味」といったようなものが出来上がります。

是非、どうぞ・・・






 割烹 逆瀬川 川上
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