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【 締める 】 |
温度の話
無いなら無いなりに
氷水の温度
すべての基本、水
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温度の話 |
以前お邪魔した、お蕎麦屋さんでの体験です。
こちらは、自家製粉で、
純国産粉の手打ち蕎麦を出してくれる、
こだわりのお店です。
ここのご主人の考え方だと思いますが、
一つ、頭をかしげた事がありました。
茹でた後の蕎麦を、
冷水で締めておられませんでした。
ひょっとしたら、
「冷えた蕎麦は風味に欠ける」
と
お考えかもしれません。
わたしも、そうだと思います。
必要以上に冷やされた蕎麦は、
味も香りも激減します。
では、「必要な冷やし」
って何?
私が思うには、
蕎麦の食感が「キリッ!」
とする温度に
してあげるってこと。
季節によっても、変わりますね。
夏は、冷たいものを美味しく感じるので、
蕎麦の風味よりも、食感を重視して、
「チョット冷え過ぎかな?」
っていう
くらいにします。
冬でしたら、
水道水そのものが冷た過ぎるので、
お湯を足して、冷やし水の温度を少し上げます。
せっかく、丁寧に打った蕎麦です。
最後の仕上げ、温度への気配りは、大切ですね。
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無いなら無いなりに |
とある お蕎麦屋さんの話です。
そのお店は、
手打ち蕎麦を作るための設備が、完璧に整っています。
直径1mは
有ろうかと思われる大きな茹で鍋。
その大量の水を
沸騰させる力を持った強力ガスコンロ。
その大きな鍋から、一回で蕎麦をすくい上げる事が出来る、
「手付きのざる」が、これまた馬鹿でかい。
そして、巨大なざると、巨大なボールを使って流水にさらします。
また、その水道の蛇口が太く、かなりの水量を扱えます。
そして、私が最も感心したのが、「締め」のための設備です。
この店には、大きな製氷機が有り、
おもむろに大きなスコップですくい取られる、
小さな粒のキューブアイス。
いいなぁ。
こんな小さな氷を、あんなにいっぱい使ったら、
蕎麦の熱を一気に奪えるでしょうね。
私の店には、こんな設備は有りません。
冬なら、水道水が冷たいので問題は無いのですが、
夏場は苦労します。
夏の水道の温かい水を、
蕎麦を締めることが出来る温度に下げるには、
かなりの時間が必要です。
ですから締めのための水は、2つのボールで
前もって氷で冷やしておきます。
ひとつは
「粗熱取り用」、もうひとつは 「仕上げ用」
。
茹であがり直後に水道水で冷やしますから、
締めの作業は、3段構えになります。
蕎麦を瞬時に締めるための、
設備無き当店の苦肉のテクニックです。
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氷水の温度 |
茹で上げた蕎麦を冷水で締める事の
重要性は前述通りです。
その冷水の話です。
盛夏のこの時期は、多大な量の氷が必要になります。
昨日の当店の水道水の温度は、28.5度でした。
その高温の水を、冷水に変えるまでに掛る時間は、
蕎麦を茹でる時間よりも、はるかに永いものです。
あらかじめ、冷水を作っておくことは、必然ですね。
ちなみに、氷水の温度は、意外と下がりません。
蕎麦を締めるための、ボールの中の氷水の温度は
長時間掛けても、6度位までしか冷たくなりません。
では、6度の冷水で蕎麦を締めるのが良いのでしょうか?
この温度では、蕎麦の風味が掻き消され、
さらに、その冷たさに不快感を感じます。
冷た過ぎる蕎麦は、旨くありません。
私が感じる、旨い蕎麦へのアプローチは、
「夏なら8度、冬なら10度」と、思っています。
皆さんも、ざる蕎麦を食べる時に、
蕎麦の温度に意識を向けてみてください。
味と温度には、大きな関係が有ることを感じられる事と思います。
それもまた、楽しいことです。
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すべての基本、水 |
当店がテナントとして入っているビルには、
最上階に大家さんがお住まいです。
??? それが何か?
大切なのです。
性悪説にとって考えてるわけではありませんが、重要な事です。
それは、当店の水道から出る「水」が美味しいからです。
美味しい水が、普通に水道から出るというには、2つの条件が要ります。
1、その地域の水源と水質の良さ
2、ビルの貯水タンクや水道管の洗浄と管理
というわけで、
大家さんも同じ水を生活用水として使うという環境は、ありがたい事です。
それは、なぜか?
蕎麦を提供するには、水の美味しさは必要不可欠だからです。
ここで、先日の体験談。
某手打ち蕎麦屋さんで、いつものようにざる蕎麦を頂きました。
丁寧なお仕事ぶりが見てとれるお蕎麦さんでした。
でも、ざる蕎麦をコーティングしている水が美味しくない。
茹であげた蕎麦を締める為の「氷水」が美味しくないのでしょう。
水道水が悪いのか、使った氷が悪いのかは、わかりません。
こちらのお店も、ビルのテナントとして入っておられます。
同じフロアーに、自動車の整備工場が有ります。
もしかしたら、飲食店に必要な環境が整っていないのかもしれない。
こんな酔狂な話も・・・
繁華街で繁盛していたお蕎麦屋さんが、
いい水を求めて、郊外の山里に移転しました。
蕎麦にこだわるということは、
とても壮大なことのようです。
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