山葵(わさび)と 日本人 |
日本人には、無くてはならない食材、
「山葵(わさび)」
。
ところが、昨今の山葵事情は、
良くないものです。
日本産の良質なものは、希少で高価です。
現在のところ、当店では、
「金印の冷凍山葵」
を使用しています。
そもそも・・・
蕎麦の薬味に、山葵は不可欠なのでしょうか?
長年の習慣から、放せないでいるのでは?
とは言うものの、私も少しだけ使います。
それよりも、もっと山葵が活躍する場面が有ります。
「そば湯」
のときです。
そう、「世界3大スープ」 の仲間入りの
順番待ちをしている、あの「そば湯」 です。
これには、欲しいですね
「山葵」。
もし、本物の山葵で、そば湯を味わったら、
その旨さに、
審査員の方も困るでしょうね。
「ブイヤベース」
を外すべきか?
「トムヤンクン」 に退いてもらうべきか?
|
|
永き習慣のため・・・ |
ちょうど、バブル期に、私は東京に住んでいました。
蕎麦に関心を持ち初めたのも、この頃です。
ここで不思議だったのが、
「もり」
と 「ざる」 が、存在すること。
その違いは、「海苔の有無」 ときた。 不思議だ。
ちなみに、関西では、「もり」 というメニューは、皆無です。
( いろんな文献を調べて、
もり と ざるが存在した理由と意味は、理解しました。
その内容は、また別の機会に。)
本題に入ります。
蕎麦の風味を演出するのに、海苔が必要でしょうか?
乾麺の蕎麦なら、いざしらず、
こだわった手打ちそばなら、無い方がいいと思います。
風味は、蕎麦よりも海苔の方が、はるかに強いものです。
さらに、
蕎麦の「のど越し」
を楽しみたいのに、
「刻み海苔」が麺にからまって、喉元でブレーキをかけます。
主役を引き立てる脇役の、「薬味」 です。
「刻み海苔」、 目立ち過ぎやっつーの!
|
大根おろし その1 |
「大根おろし」 は、危険です。
「作る事」 は 簡単ですが、「扱い方」 が難しいのです。
せっかく
丁寧に仕上がった蕎麦も、
悪い状態の大根おろしによって、台無しにされる。
正直なところ、
さる蕎麦を注文して、薬味に大根おろしが出てきたら、
恐る恐る味見をします。
そして、まず使うことはありません。
大根おろしは、よほどの細やかな神経を駆使しない限り、
薬味としては、無意味です。
当然、大根の質をこだわることは大切です。
「こだわる」といっても、やれ
「○○産」 や、やれ 「○○大根」 、
などといった事ではなく、( それはそれで良いことですが )
、
新鮮であること。
そして最も大切なことは、「おろしたて」 であること。
5分も経過しようものなら、「臭い」 。
あの
「爽やかな香り」
は、時間の経過によって、
悪臭に変わります。
まるで、結婚生活のように・・・
つづく
|
大根おろし その2 |
蕎麦は茹でたら、手際よく盛り付けて、
すぐに食べて欲しいものです。
この行程の条件の上に、
「おろしたて」
の大根を用意することは、
容易では
ありません。
いっそ、お蕎麦をお出ししてから、
大根をおろしましょうか。
よくあるケースがこれです。
「 大量におろして水にさらしておく 」
確かに 「臭み」 は、無くなります。
が、味も無くなります。
これはもう薬味ではなく、ただの
「繊維」
です。
蕎麦の良い食感を損なうだけの、邪魔ものです。
余談ですが、
天婦羅に添えられる大根おろしも、
同じことが言えます。
本来、天婦羅を食べて重たくなった口を
さっぱりさせるために
添えられる大根おろしです。
「天つゆ」
に入れるものではないはず・・・
戻ります。
では、蕎麦の薬味に大根おろしは、駄目でしょうか?
人それぞれの好みでしょうが、
大根おろしの
「絞り汁」 が、なんとも良い具合です。
もっとも、これでお蕎麦一枚の量は、食べられませんが・・・
|
|