■ 技術の習得に、高額な費用は必要なし ■
web name : 徳次郎
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 【 蕎麦と私 】
手打ち技習得 その1
手打ち技習得 その2
手打ち技習得 その3
手打ち技習得 その4
手打ち技習得 その5
手打ち技習得 その6
手打ち技習得 その7
手打ち技習得 その8
手打ち技習得 その9
手打ち技習得 その10
手打ち技習得 その11
手打ち技習得 その12

 手打ち技習得 その1

「 自分で旨い蕎麦を作ろう! 」
そう思い立ったのは、2年半ほど前の事です。

まず始めたことは、

こだわってそうな、「手打ち蕎麦」 のお店を
食べ歩くことからです。

なぜ?
「 自分がどんな蕎麦を作るのか 」、という
目標というか、モデルというか、
具体的な方向性が欲しかったからです。

評判の良いお店にも行きました。

多い日には、3件行く事もありました。
もちろん、注文は「もり蕎麦」だけです。

1か月くらい続けたでしょうか。

無いんですよね、以外と。
「これー!」、っていう
ドキドキする味に 出会わないんです。  

                        つづく




 手打ち技習得 その2

「ドキドキする味」 って言うのも
可笑しな表現ですね。

なんていいますか、

蕎麦の香りと、心地いい食感・喉越し、
食べた後の湧き上がる満足感・・・ かな

もちろん、「蕎麦つゆ」 の存在は大きいです。
つゆが不出来なため、「もったいない」 と感じたことは
多々あります。

「麺」 と「つゆ」 の二本柱が、あってこそですね。

一か月ほどの間、何枚の蕎麦を頂いたでしょうか。
そして、
やっと、「それ」 に出会うことになるのですが。


今に思えば、この時期が夏だったことが幸いでした。

蕎麦の風味が落ちる頃なので、
作り手の技量やセンスが、
振るい分けられていたように思います。

「ガランッ ガランッ ガラー !」
一口すすって、頭の中で鐘が鳴りました。

「これー! この味!」

そこは、JR東西線 大阪の「福島駅」 出口近くにある
小さな蕎麦屋さんです。

                      つづく



 手打ち技習得 その3

そこは、
表通りから ちょっと入った路地裏にあるお店です。
薄暗い店内に、カウンターと小さなテーブルがありました。

女性が独りで、お店を切り盛りしているようです。

いくつかのメニューが有りましたが、
私は、いつものように、「さるそば」 を頂きました。

黒く細い蕎麦で、一目見て
「あっ、違う」 と、思いました。
もちろん、「旨そう」 という意味で・・・

手打ちらしく、蕎麦の端っこが
七夕の時の短冊に貼る 「こより」 のようになっています。
「かっちょいい〜」 と、思いました。

夏だというのに、どうでしょう この風味の良さ。
つゆも、しっかりめで、作り手の意思が伝わってきます。

決して派手な目立つ蕎麦では ありません。

むしろ、手打ち蕎麦に あまり関心がない方が食べると、
心を素通りしてしまうような蕎麦です。

しかし、私には響きました。
この、トータルバランスの良さに、感動すらしました。


さぁ、イメージが湧きました。
私が作る蕎麦の、モデルとなる蕎麦がここに有ります。

そして、 「 このお店の味を超えるものを作ろう! 」
そう決意しました。

決意はしましたが、この時点、
私は、蕎麦を打ったことが
ただの一度も ありませんでした。

                  
                   つづく



 手打ち技習得 その4

さぁ、何から始めましょう?

「蕎麦を打つ知識・経験」 は、まったくゼロです。

「百聞は一見に如かず」 では無いですが、
100読本は、1体験にも及ばないと思います。

初めてのスキーなんかも そうですね。
事前の知識などは、ゲレンデでは何の役にも立たない。

という訳で、あれに申し込みをいたしました。
「そば打ち体験」

お蕎麦屋さんが、一から教えてくれる、
「体験型」 の 「レクリエーション」 。

商品化を目指していた私は、
ちょっと、後ろめたさも感じましたが・・・

何はともあれ、
初めて蕎麦粉に触り、道具を知り、
全行程を経験いたしました。

「出来る!」  そう確信しました。

兵庫県の三田市方面にある、個人のお蕎麦屋さんです。
私は深々と頭をさげて、
「ありがとうございました。」

さぁ、次は 「本」 を購入しよう。
「初めての蕎麦打ち入門」

                       つづく


 手打ち技習得 その5

大型書店の 料理書のコーナーには、
蕎麦に関した書籍が、たくさん有りました。

何よりも驚いたのは、
名店と言われている お蕎麦屋さんが、
「入門書」 と題する本に、
惜しみなく レシピや技術を 公開している事。

板前の世界の 「暗く湿った感」 に浸っていた私には、
明るく爽やかな、いい感じを受けました。

その場で、一冊購入。


 ( この本です )

そこに記されている、「人さまの努力と知恵」 を
謙虚な姿勢を 忘れないように、と自分に言い聞かせながらも、
グイグイと、参考にさせて頂きました。

「蕎麦」、深いですねぇ、深い。

自分で作った蕎麦で、
お客さんに、喜んでもらい、金銭を頂く。

やるべき事が、山ほどある。

忙しい日々が 始まりました。
     ( 2か月後、体重が5kg減っていた )

                      つづく 




 手打ち技習得 その6

蕎麦を打つ行程を、一度体験しました。

ありがたいことに、「入門書」 には、
かなりの情報が 記載されています。

今、私が持っている、蕎麦打ちのための 「武器」 は、
この 二つだけです。

打とう。
とりあえず、自分で打とう。

と、いうことで、
「蕎麦粉」 と 「道具」 の調達と、
「蕎麦つゆ ・ かえし」 準備です。


蕎麦粉は、どこで売ってるの?

そうなんです。
私は、毎日 「市場」 に買い出しに行きますが、
「蕎麦粉」 は、見たことが無い。
超・専門分野なんですね。

インターネットで、
「製粉会社」 を探します。
便利な時代です。

しかも、製粉会社のサイトに、
粉の「特性」 や 「加水率」、 「難易度」 なども
記されています。

もうひとつ、「武器」 が手に入った気がしました。

                      つづく


 手打ち技習得 その7

相変わらず、
蕎麦を食べ歩く 日々が続いています。

そんな中、
「入門書」 を参考にして、「かえし」 を作ってみました。

「寝かすことが大事」 らしいので、
意味は解からずまま、まず作ってみる。
味の 調整と決定は、まだ先の話。

先週、「蕎麦打ち体験」 へ行ってから 一週間。
この日も、蕎麦打ちを 教えて頂けるお店に予約を致しました。
今度は、大阪市内にある お蕎麦屋さんです。

まずは、講師(店長さん)が、打って見せてくださいます。
その全行程を見た後に、個人個人が打ちます。

二八の割合で、500gの粉が、用意されています。
木鉢に入れて、「粉合わせ」 から始まります。

この時の感じを、今もよく覚えています。
楽しい気持ちで、ワクワクしていました。
今でもそうですが、蕎麦打ちは 「全行程」 が面白い。

無事に、「2度目の体験」 を終え、
その足で、「大阪ミナミ」 に向かいました。

吉本興業の 「難波グランド花月」 の近くにある、
調理道具が何でも揃う 「道具屋筋」 です。

蕎麦打ち道具一式を 買うために・・・

                        つづく


 手打ち技習得 その8

お蕎麦屋さんが行う 「蕎麦打ち体験」 に2度 行きました。

たったのこれだけで、たくさんの事が解かってきます。

○蕎麦打ちの行程
○使う道具とその役割
○身だしなみの重要性

私は、この3つさえ押さえれば、
蕎麦打ちが 「出来る」 と確信しました。

2度目の 「蕎麦打ち体験」 の終了後、道具屋筋に向かいました。
必要な物は 解かっている。

木鉢 ・ 麺棒 ・ こま板 ・ 蕎麦切り包丁 を購入。
これで、蕎麦を打つ環境が総て整いました。
蕎麦粉も届いています。

明日から始まる、「私の蕎麦打ち」。

やるべきことは、蕎麦を上手く打つこと。
そして、旨い蕎麦に仕上げること。

そして、この時に決意しました。
「9月1日から、蕎麦を売る」、と。

( あと、25日しかない )

初めて蕎麦を打ってから、8日目のことでした・・・

                    つづく



 手打ち技習得 その9

なんとなく、感じていました。
何度も打っていれば、そのうち上手くなる、と。

ただ、時間が無い。
何も考えずに打っては、間に合わない。

入門書に載っている、先人の技術に無駄は無い、
と自分に言い聞かせて、
「理解」 する事に集中しました。

実際、「理にかなった技術」 だと感心する日々を
送る事になります。

とは言うものの、
そうそう簡単に、上手くはいきません。

二八の割合で、500グラムの蕎麦を打ちます。
たったの五人前です。

「のし」 も 「切り」 も、太さが安定しません。
それに、茹でると短く切れます。

同時進行は、この不細工な蕎麦を使っての、
「蕎麦つゆ」 作りです。

食べます。毎日何度も食べます。

お蕎麦屋さんにも 通います。
目指す味を見つける為ではなく、
その店の蕎麦つゆの、欠点に着目します。
それを排除すると、「私の蕎麦」 の完成に近づく。

意気込みは有る、
でも、蕎麦は短い・・・

                      つづく


 手打ち技習得 その10

実際に、プロの提供する 「手打ち蕎麦」 を食べ歩いていくと、
いろんな事が、見えてきます。

「同じ味」 は、無い。

いくつもの店を回ると、
似ているものは有っても、違う要素を含んでいます。

具体的には、つゆの味や、出汁の取り方、
蕎麦打ちの技術や、使用する蕎麦粉の種類などでしょう。

そういった細かい事は、「テクニック」 の問題だと思います。

それよりも、私が強く感じたのは、
手打ち蕎麦の店は、2つに分かれている、ということ。

「蕎麦を売っているだけの店」 と
「旨い蕎麦を食べてもらいたいと考えている店」 です。

はっきりと、分かれています。

接客態度や、店の作り ・ 使う器などの事ではなく、
「蕎麦の味」 に出ています。

蕎麦を作る人の、まじめさや、丁寧さや、想いなどが
ざる蕎麦の中に見えます。

きっと、シンプルな食べ物だからこそ、
ごまかしが、効かないのでしょう。

気付いてしまった。
自分は、まだ ちゃんと打てないくせに、
まだ、蕎麦つゆも 完成していないのに、
気付いてしまった、8月の中頃・・・

                    つづく


 手打ち技習得 その11

ちゃんと打てない日々が続いています。

まずは、「二八で500グラム」 が打てる事を目指します。
あと2週間で 商品化させるのですから、
打てるようになって当たり前です。

この頃、あることに気付きました。
毎日毎日、蕎麦を打ち、蕎麦を食べていると、
昨日は、解らなかったコツや、
昨日には、見えなかった味の欠点などに気付く、
ってことに気が付きました。

快感です。
自分の中に、確実に 「力」 が積み上げられていく実体験。
毎日蕎麦を打つことが楽しみで仕方がない。

若い頃には、有ったあの感覚。
板場の世界に入ったころ、怒鳴られ続ける毎日でしたが、
いつも感じていた、「自分の中に増えてる」 という満足感。

今この歳になって、また体験できたことを、
「蕎麦打ち」の世界に感謝します。

おーっと、感傷に浸ってる暇は無い。

次の休日、また行こうと思う。
先日も教わった大阪の蕎麦屋さんの
「蕎麦打ち体験」 に参加を申し込もう。

質問の要点は、
ここと、あれと、これの扱い方と、
これをする訳と、この道具は ・・・

あー、楽しみ。

                  つづく




 手打ち技習得 その12

それは 大阪にある、「手打ち蕎麦体験」 を
実施している蕎麦屋さん。

前回と同様に、店長さんが教えて下さいます。
外は残暑が厳しい季節。  店内はエアコンが強く効いています。

前回の この店での講習参加から、3週間が経っています。
その間 ほぼ毎日、自分で蕎麦を打ちました。
聞きたいことが 山ほど有る、この頃。

レッスン過程は、前回と同じです。
まずは、店長さんが打って見せてくださいます。

楽しかったなぁ、見るのが。
店長さんの動きを、「寸分も見逃すまい」 という気概でいました。

当然ですよね。
私にとっては 「蕎麦打ち体験」 ではなく、「技術習得」 なのだから。

見ているだけでも、たくさんの疑問が 改善に向かいます。
さらに、店長さんに質問責め もしました。
「すごい、意気込みですねぇ!」 と、私に言う店長さん。

そして次は、自分で打ちます。
毎日打ってきた、500グラムの二八蕎麦。
質問は 後にして、黙々と一生懸命に打ちました。

すると驚いた顔で、店長さんが私に、
「あれぇ、打ててるじゃないですか?」




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